停電の復旧後に火災が起きる「通電火災」|原因と家庭でできる備え

台風で数時間停電し、電気が戻ってほっとしたその直後、家のどこかから焦げたようなにおいがする。

実際に各地で起きているのが「通電火災」です。

停電そのものよりも、電気が復旧する瞬間のほうが危険なケースがあります。

この記事では、通電火災がなぜ起きるのか、停電中と電気が復旧したあとに、ご家庭で何をしておけばいいのかを分かりやすく整理します。

目次

停電が直った瞬間に火が出る「通電火災」とは

通電火災とは、停電から復旧して電気が流れ始めたときに発生する火災のことです。

地震や台風などの災害が起きた直後ではなく、停電から時間が経って電気が復旧したあとに火災が発生するため、原因に気づきにくいという特徴があります。

消費者庁と消防庁は2026年7月28日に、通電火災について注意を呼びかけました。

その中では、2011年の東日本大震災で発生した火災108件のうち、電気に起因するものが58件と半数を超えていたことが示されています。

通電火災で特に注意したいのは、停電中には何も起きていないように見えることです。

危険な状態がそのまま残っていて、電気が戻った瞬間に一斉に機器が動き始めることがあります。

だからこそ、停電している間にどのような対応をするかが重要になります。

なぜ電気が復旧するタイミングで火災が起きるのか

通電火災が発生する主な原因は、次の4つです。

暖房器具などに可燃物が接触したままになる

電気ストーブやオーブントースターなどを使用しているときに地震や災害が起きると、揺れによってカーテンや衣類などがヒーター部分に倒れかかることがあります。

停電中は電気が流れないため、すぐに火災につながらない場合があります。

しかし、その状態のまま電気が復旧すると、ヒーターが再び加熱され、接触している衣類やカーテンなどに着火する可能性があります。

配線やコードが傷ついている

家具の転倒や飛来物などによって、電気配線や電源コードが傷ついている場合があります。

その状態で通電すると、ショートや異常発熱が起こり、周囲のほこりや可燃物に火がつくことがあります。

コンセントにほこりや水分が付いている

プラグとコンセントの隙間にほこりがたまり、そこに湿気や水分が加わると、電気が流れて発熱・発火することがあります。

これは「トラッキング現象」と呼ばれるものです。

コンセント周りの危険については、「コンセントが熱くなるのは危険?見逃しがちなサイン」でも詳しく紹介しています。

普段からコンセントやプラグの状態を確認しておくことで、災害時のリスクを減らすことにつながります。

浸水や雨漏りで家電が壊れている

台風や豪雨のあとに特に注意したいのが、水による電気設備や家電の故障です。

浸水や雨漏りによって家電の内部に水が入り込むと、外見上は乾いているように見えても、内部に水分が残っていることがあります。

その状態で電気が復旧すると、内部でショートして発熱や発火につながる可能性があります。

台風や豪雨のあとは「水」が原因になる

東三河は台風の影響を受けることもあり、特に台風シーズンは停電や浸水への備えが重要です。

地震による通電火災では、家具の転倒や配線の損傷などが原因になりますが、台風や豪雨では「水」が大きなリスクになります。

雨漏りや浸水によって家電の基板が濡れてしまうと、電気が復旧したときにショートする可能性があります。

壁の中にある配線に水が回っている場合も同様です。

外から見て乾いているように見えても、内部に水分が残っていることがあります。

床上浸水があった住宅では、コンセントそのものが水に浸かっている可能性もあります。

「乾いたから大丈夫」と自己判断して使用するのは避けましょう。

停電中にやっておきたい3つのこと

消防庁などが呼びかけている対策として、停電中には次の3つを意識しましょう。

1.使用していた電気機器のスイッチを切り、プラグを抜く

停電したら、使用していた電気機器のスイッチを切り、可能であればコンセントからプラグを抜いておきましょう。

特に注意したいのが、電気ストーブ、アイロン、ドライヤー、オーブントースターなど、熱を発生させる電気製品です。

停電した瞬間に「電気がないから大丈夫」と思わず、電気が復旧する前に電源を切っておくことが大切です。

2.自宅を離れるときはブレーカーを落とす

避難指示などが出て自宅を離れる場合は、可能な範囲でブレーカーを落としてから避難しましょう。

誰もいない家で電気が復旧すると、異常が発生してもすぐに気づくことができません。

ブレーカーを落としておくことで、電気の復旧時に起こる火災のリスクを抑えることができます。

3.電気が復旧しても、すぐにすべての電源を入れない

電気が戻ったからといって、すぐに家中の電化製品を一斉に使用するのは避けましょう。

まずは電化製品やコンセント、コードなどに異常がないか確認してから、必要なものを少しずつ使用することが大切です。

停電時の備えについては、「災害時に役立つ!家庭でできる電気対策と備え方」でも詳しく紹介しています。

電気が戻ったあと、使う前に確認すること

電気を使用する前に、まず家の中を確認しましょう。

次のような異常がないかチェックしてください。

・電化製品に破損や変形、焦げた跡がないか
・電源コードや配線が家具などに挟まれていないか
・コードに傷がついていないか
・ヒーターやコンロの周囲に、倒れてきた衣類や紙などの可燃物がないか
・コンセントやプラグが濡れていないか
・コンセントにほこりがたまっていないか
・浸水した部屋のコンセントを使用しようとしていないか

特に、浸水した場所にある電気設備や家電製品は注意が必要です。

少しでも不安がある場合は、無理に電気を使わず、専門業者に確認してもらいましょう。

電気が復旧したあとも、しばらくは焦げたにおいや異音がないか確認してください。

「焦げたようなにおいがする」「パチパチという音がする」「コンセントや分電盤が異常に熱い」などの症状があれば、すぐに使用を中止しましょう。

タコ足配線をしていた場所も注意が必要です。

複数の電化製品を一つのコンセントに集中させている場合、負荷が集中して発熱する可能性があります。

タコ足配線やコンセントの過負荷については、「火災を防ぐために知っておきたい電気の知識~コンセントの過負荷とタコ足配線のリスク~」で詳しく解説しています。

地震への備えには「感震ブレーカー」

通電火災への備えとして、「感震ブレーカー」という設備もあります。

感震ブレーカーとは、一定以上の揺れを感知したときに、自動的に電気を遮断する装置です。

留守中や就寝中に地震が発生した場合でも、自動的に電気を止めることで、通電火災のリスクを抑えることができます。

感震ブレーカーには、分電盤に取り付けるタイプやコンセントに差し込むタイプなど、さまざまな種類があります。

住宅の分電盤の状態や設備によって適したタイプが異なるため、設置を検討する場合は電気工事店などに相談すると安心です。

また、自治体によっては感震ブレーカーの設置に対する補助制度を設けている場合があります。

お住まいの自治体の窓口などで確認してみるのもおすすめです。

分電盤そのものが古くなっている場合は、「分電盤の埃が火災のリスク?安全な対処法を紹介します」もあわせてご覧ください。

自分で判断してはいけないケース

次のような状況では、無理にブレーカーを上げたり、電気設備を使用したりせず、専門業者へ相談してください。

・家が浸水した、または床下に水が入った
・分電盤やコンセントが濡れた形跡がある
・ブレーカーを上げるとすぐにまた落ちる
・壁の中や天井から焦げたにおいがする
・一部の部屋だけ電気が戻らない
・電化製品から異音や異臭がする
・コンセントや電源コードが熱くなっている

特に浸水した電気設備は、見た目だけでは安全かどうか判断できない場合があります。

また、ブレーカーや壁の内部にある配線などを自分で分解したり、修理したりするのは非常に危険です。

電気設備の工事や配線作業には資格が必要なものもあります。

安全のためにも、異常を感じた場合は電気工事店などの専門業者に点検を依頼しましょう。

電気の安全に関する基本的な知識については、「感電や火災を防ぐための電気の安全基礎知識」でも紹介しています。

停電のあとに「これ、使って大丈夫?」と思ったら

台風や地震のあとの停電は、電気が復旧したら終わりではありません。

むしろ、電気が戻った瞬間に危険が発生するケースがあります。

「コンセントが濡れているけど使っていいの?」

「ブレーカーを上げても大丈夫?」

「家電が少し水に濡れたけど、乾けば使える?」

「焦げたようなにおいがするけど、どこからか分からない」

このような場合は、無理に使用せず専門業者に相談してください。

私たちは豊橋市・豊川市・新城市を中心に、住宅の電気設備の点検や工事を行っています。

台風や地震のあとの「これ、使って大丈夫だろうか?」というご相談も承っています。

LINEからお問い合わせいただく場合は、分電盤やコンセントなどの状態を写真に撮って送っていただければ、確認できる範囲で状況を確認し、点検が必要かどうかの目安をお伝えします。

お見積もりは無料です。

お急ぎの場合は、お電話でもご相談いただけます。

災害時は「電気が戻ったから大丈夫」とすぐに判断せず、まずは家の中の電気設備を確認しましょう。

ほんの少しの確認が、大きな火災を防ぐことにつながります。

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